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オーガニック先進国ヨーロッパのBIO事情をレポ!
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オーガニック先進国ヨーロッパのBIO事情をレポ!


ヨーロッパ滞在中の筆者から、現地の文化や暮らしを通して感じたことをお届けするコンテンツシリーズです。

もともと旅好きの筆者は、長期・短期も併せてこれまで27ヵ国を訪れました。その度に様々な文化の違いに驚くことがありましたが、裏を返せば島国である日本が世界の中でもユニークな存在であることの証明だと思います。

世界から見るユニークな日本の文化、国内外の「当たり前」の違いを通して、暮らしのヒントや日本を違う角度から再発見できるような情報をお届けできればと思います。

今回は、日本の有機食品とヨーロッパのオーガニック食品事情についてです。
 

■TOPICS

・オーガニック食品・有機食品とは?
・ヨーロッパのオーガニック食品事情
・フランスのBIO食品の価格はどれくらい?
・日本の有機栽培のむずかしさ
・オーガニックは健康にいい?
・鳥のさえずりが聞こえなくなった?
 

オーガニック食品・有機食品とは?

オーガニック食品と有機食品は同じ意味で、オーガニックは英語のOrganic(有機栽培の〜)を意味しています。

日本の有機食品とは農薬や化学肥料に頼らず、できる限り環境負荷を少なくして自然に近い形で生産される「有機農産物」「有機畜産物」また、それらを原料にした「有機加工食品」のことです。

詳しく書くと専門的な話になるので、詳細は割愛しますが・・・

農産物では数年をかけて土づくり、畜産物は環境に配慮した畜産飼料での飼育、加工食品では有機農畜産物を使用して化学的な食品添加物を避ける、というような生産体制のもと、国の厳しい基準をクリアして得られる認証「有機JASマーク」がオーガニック(有機)食品である証明です。

その他に、農薬の使用量や使用回数などが通常の50%以下といったような一定の基準を満たす「特別栽培農産物」が表記された食品の中でも、農薬や化学肥料を使用していないものには下記の内容が追記されていることがあります。

「農薬:栽培期間中不使用」
「節減対象農薬:栽培期間中不使用」
「化学肥料(窒素成分):栽培期間中不使用」

近隣との境目が近い日本の田畑では、隣の農家が農薬を使用していれば風で飛んでくる可能性があるため無農薬とは言い切れないという理由もあり、買う側がより納得して購入できるようにと、このように記載されているそうです。

それでは私が現在暮らしているヨーロッパ、フランスでのオーガニック事情をご紹介します。

ヨーロッパのオーガニック食品事情


ヨーロッパではオーガニック食品のことをBIO(ビオもしくはバイオ)食品と言います。
日本の有機JASマークのように、生産者が申請して承認許可されることで表記できるロゴマークがいくつかあります。
 
 

このレモンジュースのラベルには、フランスのBIOマークであるABロゴと、ヨーロッパのBIOマークの2つ付いています。この他にも、ECOCERT(エコサート)というオーガニック認証などもあります。

BIO加工食品の基本ルールとして、95%以上の原材料がオーガニック栽培の農畜産物で作られます。(これは日本の有機JAS加工食品と同じルールのようです)

ヨーロッパはスペインやフランス、ドイツを筆頭に有機栽培が盛んに行われて市場の流通も大きいため、このBIO食品が手軽に購入できるという良さがあります。
 
 

この写真は、よく行く近所のスーパーです。
大きく「BIO」と書かれたサインのある緑の長いレーンがあり、こんな感じのレーンがあと4列あります。ずらりとBIO加工食品が並び、大抵の加工食品はここで揃うんじゃないかなと思います。もちろん全て認証されたBIOマーク付きの商品です。
 
 

ケチャップ、マヨネーズなどの調味料やインスタントフード。
 
 

穀物や豆類のBIOは計り売りで好きな量だけ購入できるようになっています。
 
 

私の好きなプラントベースミルクのコーナーです。
豆乳、オーツミルク、ナッツ系ミルク、ライスミルクなどがずらり並でいます。ライスミルクはプレーンのものから、ヘーゼルーナッツ入り、アーモンドナッツ入りなどバラエティ豊かでワクワクします!
 
 

冷凍食品やアイスクリーム、ヨーグルトなどの日配食品のコーナー。
 
 

生鮮野菜のBIOコーナーは加工食品のコーナーに比べるとそれほど大きくありません。
玉ねぎ、ジャガイモ、ニンニク、にんじん、りんごなど比較的よく食べられる生鮮品が並びます。
 
 

フランスのBIO食品の価格はどれくらい?


気になるBIO食品の価格はというと、感覚的には通常の食品とそれほど変わらないなと思ってはいたのですが、せっかくなので実際に比べて見ました。あくまで参考価格です。
(できる限り同じブランドのもので、BIOとBIOでない商品を比較しています)

卵(6個入り):BIOは2.15ユーロ、通常の商品は1.47ユーロ
オリーブオイル(1L):BIOは8.30ユーロ、通常のものは7.19ユーロ。
カマンベールチーズ(250g):BIOは2.82ユーロ、通常のものは1.78ユーロ。
全粒粉スパゲッティ(500g):BIOは1.17ユーロ、通常のものは1.16ユーロ。
マスタード(200グラム):BIOは1.09ユーロ、通常のものは1.25ユーロ。
豆乳(1L):BIOは1.35ユーロ、通常のものは1.61ユーロ。

フランスといえばチーズがよく食べられますが、カマンベールチーズは約1ユーロの差で、日本円にすると132円(10月末時点)、1.6倍の差なので思ってたよりも高い。

しかし物によるらしく、全粒粉スパゲティはほぼ同価格、マスタードや豆乳に関してはBIO食品の方がなぜか安い、という結果でした。全体的には大体1.2〜1.5倍くらいの価格だと思います。
 
 

日本の有機栽培のむずかしさ

ヨーロッパと比較すると、日本ではまだまだオーガニック食品の価格が高い状況です。
海外と比べると日本の気候は湿度が高く害虫の被害を受けやすいため、有機栽培のハードルが高いと聞きます。

農薬不使用の農家さんの畑で農作業をお手伝いをしたことがありますが、たった1日雑草むしりをしただけで、全身筋肉痛でくたくたになりました。農薬を使わずに農業をすることがどれだけ難しいのかは生産者の方が一番感じていることです。
そんな日本でもオーガニック需要は徐々に増しているという肌感覚はあります。

またヨーロッパだけでなく、オーストラリア、アメリカではオーガニックの市場が大きくなってきていて、価格も通常商品と肩を並べるようになっているそうです。
世界がそのように動いている中、日本にもいずれ需要拡大による価格の変化が訪れるのではないかとも期待しています。
 
 

オーガニックは健康にいい?

オーガニックは健康にいい、農薬は体に悪い、などの様々な意見があります。
前提として、各国で使用されている農薬は安全性を確認されて使用されているものであって、たくさんの人に安定的に食物を届けるために必要な場合もあります。実際のところ、日本の有機JASでも一部の天然物由来の農薬使用は許可されています。

またオーガニック食品が体に優しい、というのはひとつの結果であって、本来のオーガニック栽培の目的は、環境負荷を減らして持続可能な生産環境を作っていくことにあるのだと思います。
 
 

鳥のさえずりが聞こえなくなった?

日本では農薬を使用することで安定的に農産物が流通されてきましたが、近年では農薬の大量使用による土壌汚染が問題となっています。

オーガニック先進国のフランスでさえ、郊外の田園地帯に住む知り合いが「鳥の鳴き声を聞かなくなった」と話していました。都会に出てきた方が鳥のさえずりをよく聞く、と言うのです。
国内外で一部の農薬によるミツバチの減少が問題視されていますが、鳥にも影響が及んでいるのかと思うと驚きでした。

ミツバチが花粉を運んでいろんな果実や野菜の実りを助けるように、鳥は木の実を食べて種子を運び、植物の繁栄を助けるという生態系の中で重要な役割を果たしています。

私たち人間はこの生態系の中でどのようなことができるのだろう、と考えながら、今日も少しばかり庭仕事をします。

大々的な解決策なんて検討つきませんが、食べ物を貪らずに必要な分だけ大切に食べること、余裕があるときは環境に優しい方法で生産される食品を選ぶこと、それぞれが気づいてできることを考えるのも大切だと思います。

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コラム製作 管理栄養士 北田

管理栄養士ライター、ファスティングマイスター。 旅行が趣味で国内・海外とよく旅に出てはおいしいものを食べ歩いているが、いつまでもおいしいものを食べるための健康づくりに、普段は玄米食でメリハリをつけている。
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