【お出かけルポ】ナチュラルなだけのイメージはもう古い! これからのオーガニックの姿とは??
「オーガニック」について、どんなイメージを持っていますか?
今年の夏に開催された「第2回オーガニックライフスタイルEXPO」。有機野菜やオーガニックコットンだけでなく、175社にも及ぶ、衣食住に関わる様々なオーガニック商品を扱うお店が大集結しました。
そこで出会った「オーガニック」なモノたちについてのレポートを交え、「オーガニックとはなんぞや?」ということを考えてみました。
みなさんは「オーガニック」について、どんなイメージを持っていますか?
それまで「オーガニック」に対する私のイメージは、「健康や美容に意識の高い人たちや、環境問題を熱心に考えている人たちがこぞって選んでいる“ちょっと高い”もの」…といった感じでした。よくよく考えてみると、長年「オーガニックとは一体なんだろう」という疑問も持っていたと思います。
「オーガニックライフスタイルEXPO」のテーマは「オーガニック3.0を推進する~持続可能な開発目標SDGsの実現に向けて」です。
「え?…3.0?SDGs??」
なんだか難しそうなテーマですが、「見て、学んで、お買い物できる!」との謳い文句にも若干乗せられ会場へ。当日は、関係者と思われる男性も多かったですが、一般客はやはり圧倒的に女性が多い。175社もの出展社が集まり、とてもにぎわっていました。
そもそもオーガニックって何??
「オーガニック」のそもそもの意味は「有機的であること」。野菜の有機栽培なんかでよく耳にする言葉です。農業に関して言えば、農薬や化学肥料などを使わずに栽培をする方法です。
しかし、今のオーガニックの考え方は単に「自分の体にいいもの」という概念を超えて、もっと広いものになってきているそうです。
元々、1970年代に有機農業の先駆者たちが動き始めたことが「オーガニック1.0」とされ、その後、国際的な規定や認証制度の普及でマーケットが拡大した1990年代が「オーガニック2.0」とされているそう。
思ったよりもオーガニックの歴史は古いんだな…驚かされますが、「オーガニック3.0」はさらに農業の枠組みを超えて、環境保全はもちろん、地域のコミュニティ・仕事の創出や、文化の継承など、「私たちが持続可能なライフスタイルを目指すためのもの」という、幅の広い考え方になってきているのです。
それを体現するかの如く、今注目され、重要視されているキーワードの中には、オーガニックな暮らしに紐づくものも多いと言います。
「持続可能」という意味の「サスティナブル」、「社会貢献・配慮」を意味する「エシカル」、特に発展途上国などを対象に「適正な価格で購入する事」を重要視する「フェアトレード」など…
自分の体のためにもいい加減なものばかり選んでいられないなという危機感を感じながらも、難しい話ばかりでは「持続可能な社会とはなんぞや?」とピンとこない人も多いはず。
ということで、本イベントが目指す「オーガニック3.0」はどんなものなのか、じっくり見てきました。
衣食住さまざまなものが揃うブース
ズラリとブースが立ち並び、衣類、コスメ、生活雑貨、アウトドア用品、フードコートまであり、野菜の販売もしており、まさに「見て、学んで、お買い物できる!」会場。
想像していた、いかにもナチュラルで少し味気ないようなイメージとは違い、活気があっておしゃれな印象です。
出展者の選定は「オーガニック認証」がされているかどうかで線引きはせず、オーガニックの本来の意味である「有機的」な商品であるかどうか、作り手の想いや誠実さを熱く伝えるものであるかどうか、そして実際に使いたいと思えるものかどうか…とのこと。
会場にあったものの中で、印象的だったお店をいくつかご紹介します。
ハーブや野菜の苗が並ぶ「エクステリア風雅舎」さん。
苗の販売をしているだけでなく、なんとお庭や家庭菜園造りをしてくれるそう!もちろん苗は有機栽培で育てたもの、土も化学肥料を一切使わないものをお庭に入れてくれるそうです。もちろんお庭のデザインも希望に合わせて提案してくれます。
せっかく野菜やハーブを育てるなら、オーガニックで安心できるものを育てたい。そんな時に相談できるなんて心強いですね!
近くには種を販売するブース。色々とお話を伺うと、実はスーパーで販売されている野菜のほとんどは、一度に大量に収穫できる代わりに、野菜が実った後に代々種が採れない「F1種」という種からできているんだそうです。
F1種は肥料や農薬が必要だったり、できた野菜も腐りやすかったり…中々農業のあり方から変えるのは大変だけど、自分の手で少量育てる家庭菜園なら、毎年種を採って育てられる方がいいですよね。
しかも、何年も育てていくと環境に馴染んだ種に変化していくんだとか。なんてたくましい!
さらに、無香料無着色、保存料も使用していないペットフードも!
原料は野生の鹿…つまりジビエです!
農作物を荒らしたりする「害獣」として地方では大きな課題となってる鹿や猪…
安全のために捕獲したあと、無駄死にさせてしまっていたものを、きちんと鮮度を保って捌いたり保管する技術を高める事で、食用にしたり、ペットフードとして活用した商品も増えてきているそうです。
それに大切な家族であるペットにも、体に良いものをあげたいですよね。
小豆島からは、有機オリーブの盆栽が…!
落ちたオリーブの実から出た芽の中から、盆栽に仕立てやすい葉の小さなものを選んで育てたそうです。ちょっとした遊び心と、大切にオリーブを育てた農家さんの親心が合わさった可愛らしい一品。
他にも有機JAS・有機栽培のスパイスやハーブを扱うお店や…
コスメコーナーにもたくさんのお店が並びます。
アウトドアブランドのパタゴニアさんでは、
オーガニックのスープやエナジーバーなどのアウトドアでも楽しめるフードや、
オーガニックのビールも。
アウトドアブランドがここまで本格的なオーガニックな商品を出しているなんて、知りませんでしたが、おしゃれに楽しめて、キャンプの時などに試しに食べてみて美味しかったら、ハマってしまいそうです!
そして中にはこんなシブいブースも!
よく見たら「ただ今しょうゆをしぼってます」の文字が。国産原料の有機醤油。もろみからしぼりたてを試食させてもらうと、コクのある豊かな味わい…
確かに、オーガニックというと野菜、ハーブやコットンなどをイメージしますが、日本の伝統的な調味料だって、まっとうな作り方で丁寧に作られた商品はオーガニックということになりますよね。
身近な調味料で、発酵食品であるはずの醤油や味噌ですが、発酵などしていない、化学調味料や保存料まみれの偽物が多く出回っているのは、ご存知の方も多いかもしれません…
日常的に使う調味料だからこそ、ちゃんと「本物」を選ばなければと再確認…
まとめ
まさに、会場内だけで生活のほとんどがまかなえてしまいそうなほど多種多様なものが揃い、試食やお買い物も楽しめる「オーガニックライフスタイルEXPO」。
想像以上に多くのお店がありましたが、常日頃から本当に信頼出来る商品を選ぶのってやっぱり難しい…。ちゃんと作り手のことを調べて選んだり、きちんと商品をセレクトしているショップで購入していくべきなんだと思います。
ただ、今回感じたことは、オーガニックは啓蒙ばかりするようなスタンスじゃなく、身近で、楽しんで取り入れられるものなんだということ。
そして、身の回りにある衣食住全てのものに真剣な「作り手」さんがいて、手間暇かけてまっとうな商品を作っている人はたくさんいるんだなということです。
だからこそ、「食は完璧にオーガニックだけど、その他は一切無関心!」という、一点豪華主義というか、偏ったこだわりではなくて、自分の身の回りの衣食住全てにおいて、できる範囲で「知る」「選ぶ」、そしてそれを「続ける」ことが大切なのだと思います。
まさに、自分自身の生活においても「持続可能」で無理がないかどうか!少しずつ、丁寧に作られたものを暮らしに取り込んでいきたいです。