群言堂日記-16 「結米」収穫祭
阿部家でお出ししているおむすびは、出雲の「結(むすび)地区」という場所で採れた「出雲 神結米(以下、結米)」というお米を使っています。
その結米を作っている「結地区営農組合」の方々が主宰する収穫祭にお邪魔してきました。
もともと結米は地元では美味しさを知られていたものの、保管場所や販路開拓の確保が進まず、別のお米と混ぜて市場に出していたそう。
あるとき群言堂に紹介があり、はじめて「結米」として販売することになったのだとか。
「もうお腹がいっぱいだけど、ついつい食べてしまう!」
と、美味しそうに塩むすびを頬張るお客様も多い、阿部家のメインディッシュ「おむすび」。そのおむすびに欠かせないのが「結米」です。
「「おにぎり」は俵型でもなんでもいいけど、「おむすび」は神様の形の三角形。だから「おにぎり」と「おむすび」は違う。」
と、登美さんは言います。
また組合の方も「むすび」という地名にちなんだ名前を大切にしています。結地区は出雲に4つある「神奈火山(かんなびやま)」のひとつ、「仏教山(ぶっきょうざん)」という山の麓の地域。神奈火山は「神の隠れこもれる山」という意味があるそう。
その結地区の「むすび」という言葉には「むす=産まれる」「び=不思議な神の力」という意味があるそうです。
美味しいお米が採れるのも、恵まれた土地、神様のおかげとという思いがあるのだそう。
同じ島根で、おむすびを大切にする阿部家と、結米を作る結地区とがつながったことにも、何か不思議なご縁を感じます。
結米の美味しさは、結地区の粘土質な土壌や質の良い水など、米作りに適した環境のおかげなんだとか。冷めても美味しいと評判のお米です!
かつてはその存在があまり知られていなかったむすび米も、郡言堂を通して知る人が増えてきているそう。
「結米を知る人が増えて忙しくなって、農家も、年配の人たちさえも活き活きとしてきました。」
と、総務副部長の石倉さんは話します。
地域の良いものをどう伝えていくかという課題はどこも抱える課題だと思いますが、その背景やストーリー、ご縁によってものの良さが伝わっていく一つの形だと感じました。