デトックス作用のある玄米。フィチン酸・アブシジン酸の影響で、逆に貧血や不健康になったりしない?
日本では古くから主食として食べられてきた食材でありながら、豊富な栄養食、スーパーフード・デトックスフードとしても注目されている玄米。
健康ブームの中で食生活に取り入れる人も多い中、実際にはじめてみた方、はじめてみようと思っている方も多いのではないでしょうか?
しかし、玄米に限らずですが、よく効果もわからないまま話題になっているからと食べているものや、ネット上やテレビでも様々なメリットやデメリットの情報が錯綜していて、結局何が本当で信頼できる情報なのか、安全なのか危険なのか戸惑うことはありませんか?
玄米も例に漏れず、「体にいい完全栄養食」と言われたり、「玄米食を続けるのは危険!」と言われていたり、結局食べていいのか悪いのか…
健康によいと思って食べたものがむしろ有害な可能性があるとあっては、不安で口にできないと感じるのも当然のことです。
そもそも玄米を食べるメリットとは?
白米との違いや、その効果はどんなものでしょうか?
それは、白米にする際には精米して削り取ってしまう、「皮」「胚芽」「糠」の部分に含まれる豊富な栄養素にあります。
玄米の糠の中の「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」が、食べたものを消化・代謝するのを助けてくれるお陰で、白米とカロリーが変わらないにも関わらず、キレイに痩せられることが玄米の魅力ですが、さらにデトックス効果のある「フィチン酸」が含まれていることでも注目されています。
しかしその「フィチン酸」こそが、玄米が危険だと問題視されている要因になっています。
「フィチン酸」のデトックス効果があまりに強力であるが故に、体の中の必要なミネラルまで排出してしまい、ミネラルが欠乏してしまう、特に鉄が足りなくなり貧血になるため、「玄米は危険!食べてはダメ!」とまで言われることも。
もしそれが「真実」であれば、健康になれるどころか体から必要なミネラルをどんどん排出してしまう、危険な存在であることは間違いないですが、実際のところ玄米を食べることで私たちのからだの中では何が起きているのでしょうか?
そもそも「フィチン酸」とはどんなものなのでしょうか?
「フィチン酸」が持つ「キレート効果」とは?
玄米がデトックスフードと呼ばれるのは「フィチン酸」が含まれているから。
そして、その「フィチン酸」が「キレート効果」をもたらしているためです。
「キレート効果」というのは、体に有用なビタミンやミネラルなどの成分を吸収し、体に取り込むことを助けたり、逆に有害物質を排出しやすくしたりする働きのことを指します。
玄米に限らず、大豆などの豆類や野菜、海藻の中にもキレート作用のある食べ物は多く存在しています。
美容や健康のためにはぜひ、積極的に「キレート効果」のある食品を食べたいところ。
そして「フィチン酸」は有害物質と結合することでそれらを体の外へ排出する性質があるため、キレート効果でデトックスができるというわけです。
しかし実は、玄米の中、さらに他の食べものの中にも「フィチン酸」という物質は存在していません。
ここに来て「フィチン酸が存在しない」とは一体どういうことか?
「フィチン」と「フィチン酸」
実は玄米の糠の中には、フィチン酸とミネラルが結合した状態である「フィチン」という状態で存在しています。
玄米を食べると危険という理論の根拠は「玄米に含まれる「フィチン酸」が体内でミネラルと結合して排出させてしまうから」というものであるにも関わらず、実際は「既にミネラルと結合している」のです。
実は玄米などに含まれている「フィチン」は体内に取り込まれ、胃の中で分解されて初めて「フィチン酸とミネラル」になります。
つまり、玄米を食べることで体の中で分解されてはじめて「フィチン酸」となり、キレート効果を発揮するわけです。
そして、体内のミネラルと結合して体の外に出たとしても、体に入る時点で既にミネラルと結合していたわけですから、「体の中のミネラルが減る」状態にはならないのです。
むしろ、元々ミネラルをたくさん含んだ玄米。
その量は実に白米の数倍・十数倍にも及びます。
同じ量の白米を食べる場合と比べても、体の中のミネラルが増えることはあっても減ることはないのです。
そもそもフィチンが玄米などの種子類に含まれているのは、鳥などに食べられた際に身を守ろうと排毒作用を促すためで、その作用が強く出るのは生の状態の場合。
炊いた状態の玄米ではその作用も弱まり、体内に取り込んでしまった農薬や添加物などの化学物質をデトックスする働きをします。
■玄米を食べてもミネラルが減るどころか増える。
■有害な物質のデトックス作用もある。
日常的に食べるなら白米と玄米、どちらが健康に良い効果があるかは言うまでもないですよね。
発芽玄米は安全?アブシジン酸とは?
さらによく、「発芽玄米にすることで「フィチン酸」が分解され、安全な「リン」になる」とも言われ、そのまま炊いて食べるよりも安全だとする内容のものもありますが、実は発芽させても分解されるフィチン酸の量は微量なもの。
そもそも発芽させなくても害のない状態で摂取できる上に、自力で玄米を発芽させるのは手間がかかるし、雑菌の繁殖や、酷い場合は食中毒の原因になる菌が繁殖してしまう可能性もあるので、無理して発芽玄米にして食べる必要はないと言えます。
また、玄米にはアブシジン酸という、発芽抑制因子が含まれています。これは水のない環境など、発芽しても成長できない環境で種が発芽しないように作用する物質ですが、この物質がミトコンドリアを傷つけるため、玄米は危険という説もあります。
しかし、これもフィチン同様、作用するのは生の状態であって、加熱した状態で食べる分には問題ありません。
結論、玄米は食べても安全なのか?
結論としては玄米に含まれる「フィチン」によってミネラル欠乏などの健康を害する心配はなく、むしろデトックス効果や豊富な「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」を摂取できることによるメリットの方が多くあると言えます。
そもそも「フィチン」は玄米に限らずほとんどの穀物や種子に含まれている成分です。
それどころか、玄米よりもゴマや大豆の方がその含有量は2倍以上多いのです。
それにも関わらず、玄米だけが危険な食べ物とされるのは不自然な話ではないでしょうか?
ゴマも大豆も玄米も、必ず火を通して食べられてきたこと。さらに、大豆はそれらの効果がさらに弱まる「発酵」という工程を経た味噌や醤油、納豆などの発酵食品が多くあります。これは先人が長い歴史の中で培ってきた知恵でもあるのです。
実際に玄米を食べてみて、下痢をしたりする方もいて不安に思う場合もあるようですが、その原因は「固くパサパサに炊いていること」「よく噛んでいない」ことが多いです。
どんなに体に良くても、固くて美味しくない玄米では続かないので、食生活に取り入れるなら、もちもちの食感の「寝かせ玄米」がおすすめです。
パサパサして美味しくない・炊くのが大変そう、そんなイメージが強い、玄米。
そんな玄米をもっちもちで美味しくて、電子レンジで2分温めるだけで簡単に食べられる「寝かせ玄米ごはんパック」。
レトルトパックになっているので、時間がない時や出張中、家族は食べないけど自分だけ食べたい、そんな時などに便利です。
最後に
情報の一部を切り取って過剰に問題視したり、因果関係も不確実なまま個人の感想を述べてしまったり、多くの人が情報を発信できる時代であるだけに、本当の情報を得るのは難しいように感じますよね。
そんな時には情報の枝葉ばかりに目を取られるのではなく、「自然の摂理に合った内容か?」「昔の人が長く続けて健康でいられた方法か?」を基準にして、全体を見ることが重要です。
ぜひ、食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?